かながわアートプレス
March 2007
芸術活動支援のページ
劇場を借りてみる
 自分たちの公演や展覧会をしたい、と思ったとき、意外と知られていないのが劇場やギャラリーの借り方です。今回は、劇場やホール、ギャラリーの借り方を調べてみました。
最近は公共施設の利用をする際、県や市など各自治体では、インターネットや携帯電話から予約申込みのできるシステムが整いつつあります*。自宅にいながらにして予約ができるのですから大変便利ですが、はじめての劇場の利用に不安は付き物です。今回は、施設に直接出向いて申し込む方法を例にとって、劇場を借りて舞台公演を開催する場合の・利用申込みから、・料金の確認・支払い、・劇場スタッフとの利用の打合せ、・利用、・利用終了・後処理までの流れや留意点について説明してみました。なお、ギャラリーを借りる場合や、練習のための施設利用の場合もおおまかな流れは同じです。参考にしてください。
(1)利用申し込み
受付 目当ての劇場にまず電話で問い合わせをします。
 劇場を借りるときは余裕をもった計画を立てましょう。劇場によっては、申込み期限が利用希望月の1年以上前のものもあり、申込みをしようとしたときにはすでに申込時期が過ぎていて、他の人の利用でふさがっていることもしばしばあります。
 電話する際は、繁忙時間(平日なら夜間、土日祝の昼と夜は、公演している可能性があります)を避けて電話します。劇場によっては事務所と楽屋、ステージがかなり近いこともありますし、少ない人数でやりくりしている劇場では、公演時に何かトラブルがあった場合などスタッフが事務所をあけている可能性もあります。落ち着いてお話できそうな時間を見つけましょう。
 電話する時にはメモを用意し、例えば「空き状況、料金、客席数、どんな機材が使用できるか」など聞きたいことを明記しておきます。何度も電話するのはやはり避けたいものです。どうしても譲れないことがある、例えば「公演は12月の中旬3日間、会場費にあてられる予算は12万しかない」という条件なら、先にそれを伝えてしまうのもいいでしょう。その上で下見の必要があれば申込みをします。
 私立の劇場の場合、以前その劇場を使ったことのある方から紹介の電話を入れてもらうのも一つの方法です。信用が増し、とてもスムーズに話が進むことがあります。
 次に、劇場の方と日取りを決めて、劇場へ出かけていきます。
 あらためて劇場を借りたい旨を述べて、「利用申込書」などを記入します。責任者の名前、希望日時、利用内容などをきちんと書き込みます。
 利用申込みをしたからといって、すぐに借りられるわけではありません。申請と許可という手順がいります。利用許可を出す方法も、先着順のところや、抽選で決めるところなど、劇場によっていろいろですので、問い合わせを忘れずに。利用の前に劇場を下見したいなどの希望がある場合は、どのタイミングで見せてもらえるか、確認します。(下見の際の注意はP6を参照)
(2)料金の確定と請求
 利用が決定すると料金が決まります。ここで料金を先払いするところもありますし、後で一括払いとする劇場や、はじめに手付け金、次に当日までに残金を払い込む場合もあります。ですから、料金や支払方法、支払期限についてきちんと確認します。請求書や支払方法について説明したパンフレットなどがあれば、それももらいます。
 分からないことは必ず確認を。さあこれで劇場を利用できることになりました。
 さて、ここからは劇場を利用するための準備についてです。
(3)劇場スタッフとの利用の打合せ
 利用当日はどんなことをどんな流れで利用するかを、劇場のスタッフと確認します。
 ここで大事なのは、このときまでにどんな催し物にするのか、自分たちのスタッフと詳細を詰めておくこと。こちらが何をしたいかがはっきりしないと、劇場側もどんな準備をしたらいいか分かりません。
 その他、特殊な機材を使用する場合などは、届出や申請をする必要があります。よく確認しましょう。なお、これ以降劇場と自分達団体との窓口を一本化しておきます。何か用件があった時、劇場側から誰に連絡を取れば話しが早いのか、明確に提示しましょう。その人の氏名、電話番号、メールアドレスなどは必ず渡しておきます。
 利用に関した広報などもここで確認しておきましょう。たとえば、数か月毎にリーフレットを作ったり、メールマガジンを発行している劇場などもあります。かなり早めに公演情報の提示を求められることもありますので、公開可能な情報(日時・タイトル・スタッフ・出演者・問い合わせ先等)を整理しておきましょう。また劇場などによっては、台本やプロット(構成、筋書き)、コンサートの時にはプログラムやチラシを事務所に渡すことが義務付けられることもあります。提出時期を忘れないようにしましょう。
 チラシやインターネットで広告宣伝をする際、公演の問合せ先を無断で劇場にしてはいけません。基本的には自分たちの責任者を連絡先としますが、どうしても劇場などにも協力を要請したい場合は、必ず確認をとります。問合せ先にしてもいいということであれば、問合せ可能な時間や担当者名を確認しましょう。
 また、チケット販売を劇場がする場合もあります。枚数や手数料等について確認しましょう。
(4)利用
 さて、ここからいよいよ利用開始です。はじめに受付で鍵などをもらいます。
 舞台監督など裏方スタッフがリハーサルなどの予定や催し物の終了時間(ギャラリーではレセプションなどの時間)、を伝えておくと劇場側に不安を与えません。また、打合せのあとに変更したことなどがあれば申し出ます。
 お客様がいらしたら、劇場の道に行列ができないか、周辺の方に迷惑が無いか、常に気を配ります。とくに終演後、屋外での長時間歓談はクレームになりやすいので注意が必要です。
(5)利用終了から後処理
 利用後には、楽屋などを清潔にして帰ることは常識です。ゴミ出しには細心の注意を。劇場の方に後から分別のし直しをさせてはいけません。
 利用初日に挨拶をするのはもちろんですが、たとえ精算等がすべて終了していても劇場をあとにするときは挨拶に行ってください。責任者が行けばいいでしょう。そのとき、万が一忘れ物等があった場合の連絡先も置いていきます。
【下見の際の注意】
 ステージの大きさや声の反響などを確かめてみるのはもちろんのこと、客席の見やすさや、ステージ両側の舞台裏のスペース(通常「袖」と呼びます)の広さも見ておきましょう。楽屋の使い勝手や、搬入搬出の時に必要になるエレベーターの大きさ、また劇場外の搬出口の位置などもきちんと目で確認します。搬入方法や駐車場の有無、機材の確認も大事です。
 下見に手土産などの必要はありません。ただ、できれば劇場機構に詳しい人(例えば舞台監督)が同行すれば、二度手間を省くことができます。
 利用を決める前に下見をする場合は、下見の後、使うのか使わないのか早めに返答しましょう。劇場によっては、仮押さえなどをしてくれている場合もありますから、早めに意思表示した方が劇場側は助かります。 

(取材・執筆 岡野宏文)

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