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March 2008
私はひとつの作品でうまくいっても、それを自分のスタイルとして固定させず、
次から次へと新しいことに挑戦していくタイプのアーティストです。 |
振付家・ダンサー
デボラ・コルカー
ブラジルのコンテンポラリー・ダンスは、世界から熱い注目を集めています。その中でもスター的存在のデボラ・コルカーさんに、初来日公演について熱く語ってもらいました。
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よく「あれは何?地図なの?」と聞かれます。もちろん自由に受け取っていただいて良いのですけど、じつは洋服の型紙なんですよ。型紙は服を作るための地図であるとも、ダンスとは身体を探る地図であるともいえますね。この作品では空間を構築し、さらに展開することに注力しています。前半はダンサーにチュチュのような物を着せたりして、技法もクラシックとコンテンポラリーの両方を使っています。
その通りです。私のゴミ箱はいつもパンパンなんですよ(笑)。ダンサー達は「ゴミ箱に棄てたものだけで、別の作品を作れるよ」と言っています。
そうかもしれませんね(笑)。前半はダンサーの動きを中心に『水平』に関する思考の流れを作っていきました。そこで後半では垂直方向の空間を構成したくなって、あの巨大なリングを使ったんです。それによって、この作品のテーマである『融合』を体現できていると思います。垂直と水平、重力と軽さ、音楽とダンス(じつはこれはクラシック音楽を使った初めての作品なのです)、身体と金属、クラシックとコンテンポラリー……。ブラジルの文化は歴史的に様々な文化が融合し合ってできたものですからね。
子どもの頃はクラシック・バレエをやっていましたが、ピアノやバレーボールを始めてからはダンスから遠ざかっていました。ピアノで大きな賞を取ったり、リオのバレーボールチームに引き抜かれたりと、分不相応な成功に悩み、全てをやめてしまいたくなったんです。まだ10代で、多感な時期でした。なにもしない、精神的にもかなり危機的な状況が半年くらい続いたんです。しかしそんななか、ダンスには今まで自分がやってきた芸術(ピアノ)も身体性(バレーボール)も、全てがつながっていることに気づき、ダンスに戻っていったんです。
とんでもない(笑)。ダンサーや振付家のキャリアを全く持たずに入っていったわけですから大変でした。テレビやショーの振り付け、時にはカーニバルでサンバの振り付け等、なんでもしました。ブラジルではサンバは競い合うものですから、出来が悪いと振付家がみんなから責められて大変なんですよ(笑)。しかし様々なキャリアを経てきたことが、いまとても生きていますね。
キャリアを重ねる中で、私はダンサーであるよりも、より振付家であるということを実感していました。そして1994年に周りの人々が、「デボラ、いま自分の作品を作らなくていつ作るの!?」と後押ししてくれたんです。完璧なタイミングでした。私の中で何かが弾けたようになって、立て続けに作品を作りましたね。でも一部の人からは「あんなのはダンスじゃない! ショーだ!」という悪口もいわれました(笑)。ブラジル中がピナ・バウシュやイリ・キリアンのマネをしているときでも、私は自分の中の情熱に従って作っていましたからね。でも今回上演する『ルート』がとても高い評価を得て、さんざん悪口をいっていた人たちも認めざるを得なくなったのです。ただよほど悔しかったのか、彼らは「たしかにあの作品はいい。でもここが限界だ」と言ってましたけれど(笑)。そういう人たちはその後も、作品を作る度に「ここが限界だ」「これで終わりだ」と言い続けていますけどね(笑)。
でも私はひとつの作品でうまくいっても、それを自分のスタイルとして固定させず、次から次へと新しいことに挑戦していくタイプのアーティストです。今回の公演をきっかけに、ぜひとも私の他の作品も上演してほしいですね(笑)。
聞き手・文:乗越たかお TAKAO NORIKOSHI/作家・ヤサぐれ舞踊評論家 写真:幸田 森
公演情報
<第15回神奈川国際芸術フェスティバル> デボラ・コルカー・カンパニー「ルート」(日本初演) ●日 時:6月21日(土)18:00開演 22日(日)15:00開演 ●会 場:神奈川県民ホール大ホール ●料 金:全席指定 一般5,000円 学生3,000円 ●チケット・お問い合せ: 県民ホールチケットセンター 電話045-662-8866 音楽堂チケットセンター 電話045-263-2255 インターネットチケットセンター(24時間受付) ※未就学児童の入場はご遠慮いただいております。 |
プロフィールデボラ・コルカー(振付家・ダンサー) Deborah Colker 心理学を学び、バレーボール選手(リオ・デ・ジャネイロのオフィシャルチームに2年在籍)やピアニストとして活動するなど、多彩な経歴を持つ。カーニバル、パレードなどの振付家として活躍の後、1994年、デボラ・コルカー・カンパニーを設立。以降、「VULCAO」「VELOX」「MIX」「ルート(ROTA)」「CASA」「4 POR 4」の長編6作品を創作。ブラジル文化大臣賞、ローレンス・オリヴィエ賞(英)を受賞。 |