かながわアートプレス
May 2007
クリエーターズヴォイス
この「リゴレット」というオペラは、それこそドラマティックで、
息もつかぬほど次々と物語が展開し、およそ飽きるということがありません。
ゲスト写真1
「リゴレット」芸術監督

岡山廣幸

歌手 ソプラノ

佐藤美枝子

今年の神奈川国際芸術フェスティバルの「県民ホール ヴェルディ・ウィーク」で上演されるオペラ「リゴレット」。その見所について、芸術監督の岡山さんと“ジルダ”役で出演の佐藤さんにお話を聞きました。
今回のオペラ「リゴレット」の見所、聴き所を教えてください。
 岡山:「リゴレット」は3幕ですが、全部で120分とコンパクトなオペラなんです。その中にざっとみて8曲、名曲があり、15分に1曲は名曲が入っている計算になります。名曲の連続で、どこをとっても楽しめる。ですから、オペラに足を運んだことのない方でも楽しめるオペラといえます。
 タイトル・ロールのリゴレット役は、いわゆるヴェルディ・バリトンといわれる、太く深い重厚な声でありながら、かつ高い音域を歌わなければなりません。いってみればバスのような深い音色の声で高い音を歌えるバリトンということで、これが歌える歌手というのは少ないのです。
 ヴェルディのオペラでは、人間の内面的なものを表現しなければならないので、あまり軽い声では聴いていても説得力がありません。今回歌うガザーレはまだ30代ですが、ミラノ・スカラ座の来日公演で「リゴレット」のタイトルロールを演じた、今、活躍中の注目の若手歌手です。またマントヴァ公爵役のダグアンノはまだ20代ですが、評判を聞いて私がオーディションをして選びました。甘い声、甘い容姿が今回の役柄にぴったりです。
 演出や舞台装置などは、ニコラ・ジョエル演出によるトゥールーズ・キャピトール歌劇場のプロダクションです。オペラは総合芸術です。音楽だけではなく、演出や舞台装置までトータルで楽しむものですから、名演出家によるこのプロダクションをぜひご覧いただきたいです。
 今回の演出は伝統的で「読み替え」はありません。時代を現在におきかえるなどの「読み替え」の演出は、裏づけのしっかりしたものもありますが、はじめてオペラを観る人にとっては、いきなり抽象的な演出の舞台を観てしまうとがっかりしてしまうこともあります。その点、オーソドックスで伝統的な演出だと安心して観ていられます。ですからその点でもお勧めできます。

「リゴレット」の“ジルダ”の役について。
 佐藤:この役には特別な思い出があります。1995年にローマに留学しているときに、市立劇場で「リゴレット」のオーディションがあり、合格して舞台に立ちました。そのときはダブルキャストだったのですが、本格的なオペラデビューがこの時の「リゴレット」のジルダ役だったのです。その後、帰国しましたが、私の声の質もあって、ヴェルディのオペラの中では「リゴレット」のジルダを一番たくさん歌っています。神奈川県内では湘南台でやはりジルダ役を歌わせていただいています。役柄としても共感できるものが多く、入りやすい役だと思います。


神奈川県民ホールの観客に一言ずつメッセージを。
 佐藤:神奈川県民ホールの舞台で歌うのは、私は今回がはじめてです。コンサートではなくオペラという形で初舞台となるのはとても幸せなことです。以前から、コンサートではなくオペラの中で生きて行きたいと思っておりますので、ぜひ神奈川の皆さんに聴いていただきたいです。
 この「リゴレット」はヴェルディのオペラの中でベストテンに入る人気の高い見所の多いオペラです。しかもジルダというのは、お客様の心に一番残る重要な役柄です。お芝居と歌とが融合してうまくいくと、お客様がその悲劇的な運命に感情移入して泣いてしまうような演目なのです。そこまでいけるよう、突き詰めて創っていければと思います。
 岡山:藤原歌劇団は2月に県民ホールでオペラ「蝶々夫人」の公演をしましたが、聴衆の皆さんに本当に温かい思いでむかえていただきました。その思いに応えるような熱い舞台を、我々もお届けしたいと思います。この「リゴレット」というオペラは、それこそドラマティックで、息もつかぬほど次々と物語が展開し、およそ飽きるということがありません。3幕の間に、悲劇がどんどん進んでいく。最後にこんな結末になる、ということも、物語をはじめて知る人にはとても想像できないでしょう。
 また、指揮者のフリッツァ、リゴレット役のガザーレをはじめ、ジルダ役の佐藤美枝子と、イタリア・オペラをよく知っている人たちによる舞台ですから、どうぞ楽しみにしてください。  

(平成19年2月赤坂にて 写真:幸田 森)

公演情報
舞台芸術共同制作公演
ヴェルディ作曲「リゴレット」オペラ3幕 (字幕付原語上演)
●日時:6月3日(日) 15:00
●会場:神奈川県民ホール大ホール
●指揮:リッカルド・フリッツァ
●演出:ニコラ・ジョエル
●出演:アルベルト・ガザーレ(リゴレット)、
 エマヌエーレ・ダグアンノ(マントヴァ公爵)、
 佐藤美枝子(ジルダ)ほか
●合唱:藤原歌劇団合唱部
●管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
●チケット:特別席16,000円〜E席3,000円 学生 2,000円 Aペア券 21,600円
 ※「リゴレット」&「ヴェ ルディ・ガラ」(6/9)セット券(A席)16,200円
ゲストプロファイル写真 プロフィール
岡山 廣幸(藤原歌劇団公演監督)
Hiroyuki OKAYAMA
明治大学政経学部卒業。1971年渡伊、ミラノ・スカラ座研究所で研鑽を積む。バスティアニーニ・コンクールほか数々のコンクールに入賞。11年の在伊中、イタリア各地で「仮面舞踏会」「セビリアの理髪師」「運命の力」「リゴレット」など多数のオペラに出演。帰国後、日本でも数少ない広い音域のバッソ・カンタービレとして藤原歌劇団を中心に数多くの公演で活躍。2003年9月から藤原歌劇団公演監督を務めている。昭和音楽大学教授。

佐藤 美枝子(ソプラノ)
Mieko SATO
武蔵野音楽大学卒業。日本オペラ振興会オペラ歌手育成部第9期生修了後、ローマで研鑽を積む。チャイコフスキー国際音楽コンクール声楽部門第1位をはじめ国内外の数々のコンクールで優勝・入賞。1995年ローマ市マンツォーニ劇場「リゴレット」のジルダに出演。藤原歌劇団に「ルチア」のタイトルロールでデビュー以来、日本を代表するコロラトゥーラ・ソプラノとしてベルカント・オペラの諸作で活躍している。藤原歌劇団団員。

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